大工の工賃について

2011.09.30

日本の住宅業界では、大工の工賃については建築面積をもとにした「坪請け方式」、内装工事などは材料費と工賃を一緒にした「材工共方式」という方法が、いまだに大手メーカーを含み、一般的です。「坪請け方式」では、10坪の住宅であっても30坪の住宅であっても、支払われる工賃は「坪あたりいくら」という同じ基準で決められます。しかし、工事に手間がかかる階段や玄関、バスルームやキッチンは、二世帯住宅のような場合を除けば、広さに関係なく一棟の家にひとつしかないものです。大工としては、10坪の家を建てるほうが、30坪の家を建てるよりも効率よく稼ぐことができます。私は若い頃、この方式が不思議に思え、周りの親方や先輩たちになぜなのか聞いてみました。しかし、「昔からこうやっている」と言うばかりで、それ以上のことは教えてくれません。親方や先輩たちも、深く考えないまま作業を続けてきたのです。「材工共方式」は、さらに不思議なやり方です。材料費と工賃をごっちゃにしたまま平方メートル単位などで発注し、また受注しているのです。各種の専門工事で使う部材は、いろいろな要素で価格が変動します。工貨にしても、作業の難易度や手間は現場によって差があります。いちいちきちんとした見積もりを出すのは面倒で、現場によって儲かるケースもあれば赤字になるケースもあり、それを長年の付き合いの中でトータルに調整しながらやりくりしてきたということなのです。これでは、どこに無駄があるのか、どうやったら安くなるのか、といった発想が生まれる余地はありません。まさに「昔からこうやっている」としかいいようがないのです。こうした旧態依然とした住宅業界の状況に、私は非常に反発を感じていました。なんとかお客様に提示する価格を根拠のあるものにしたい、実際の材料費と作業費をベースにした適正な価格をお客様に提示したいと思ったのです。そのためには、どうしても材料費と人件費を完全に分離し、しかも大工をはじめ各職人の作業を分解して工賃の単価をきちんと設定することが必要でした。

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