規制改革会議を後ろ盾とする参考人は、積み重ねてきた議論を根こそぎ覆しにかかった。土足で蜜議を踏みにじられたかっこうの委員が、議論を投げかける。「いまおっしゃった議論で、完全に抜け落ちているのは、現在、住んでいる方の権利保護、居住権をどうするかということです」。森ビルの社長は自説を曲げない。「居住権は、みんなにあるわけです。多数者にとっても自分たちの財産権にともなう居住権、つまり快適な家に住みたいという権利はあるわけでして……」委員が従来の見解をくり返した。
[参考]
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「二割の反対を押し切るなら、八割の選択か合理的であることを担保する客観的要件か必要でしょう」。森ビルの社長は激しく反論する。「わたしども実際に(再開発を)経験しておりまして、少数者が弱者ではないんですね。五分の四が賛成して二割残っている人は、大変な強者なのですね。ありとあらゆる手段、方法、法律を使って引き延ばして、嫌がらせをすることによって、いわばゴネ得を狙う大変な強者なのです」少数強者論に法制審は押し切られた。政権の信任を後ろ盾に、開発を仕切る不動産経営者の前で、法曹界や学外の世界を代表する委員は次第に黙り込む。そして乱入した『参考人』によって「結論としては、五分の四という数字が、これ自体、非常に重い」と答弁は方向付けられたのである。