公庫ローンが銀行に肩代わりされる可能性は大きい。条件さえ変わらなければ、債権者Aから債権者Bに変わることは、金融界では日常的に行われている。それだったら、債務者Aから債務者Bに変えることも簡単にできそうなものだが、これは簡単なことではない。手間も時間も経費も膨大になる。これは考えてみるとおかしい。住宅ローンの四割が公庫融資であることを考えれば、銀行への委譲は容易なことではないが、それが断行された場合の個別のローンへの影響も小さなものではないだろう。
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そして、いくつかの考えられる可能性も出てくる。
【ケースA】
住宅公庫から民間銀行への移管の際、なんらかの経費を求められる。書き換え手数料とか、保証金、銀行の基準に合わせるための頭金(この場合はおそらく繰上げ返済として)などを求められる可能性がある。たとえば、一〇〇〇万円の公庫ローンを抱えている人が、バブル後の地価下落で住宅の資産価値が低下し、その銀行の基準では八〇〇万円しか融資できないとなれば、差額の二〇〇万円を即座に前倒しで返済するように求められるかもしれないのだ。
【ケースB】
いったん公庫の契約を破棄して、新規に銀行ローンを組むことを求められるかもしれない。その場合は金利は銀行のものに沿うことになる。これではなんのための移管かということになり、反発は必至だが、しかし銀行も二五年固定金利とか、三五年固定金利という商品は扱っていない(三五年融資を扱っている金融機関はないわけではない)。銀行の基本は短期融資なのである。とすれば、公庫ローンをそのまま引き継ぐことはできないわけで、その分のリスク負担を利用者側に求める(ケースAのように)可能性があるわけだ。本来ならこうした負担を求めるなら公庫側に求めるのが筋であるはずだが、お上(と組んだ銀行)は何をするかわからないから、この推移についても警戒が必要だ。