「品数の多さ」の問題は、単に展示場住宅と建売住宅の両者にだけ関わる問題ではなく、すべての派の住宅に関わる、はなはだ射程の長い問題である。「品数」の問題とは、実は「住宅とメディア」という問題なのである。展示場派においてパンフレットというメディアはどういう存在であったか。パンフレットは展示場派の人々に対して「空間の見方」を教える役割をはたした。その際に写真が大きな役割を担っていたのは言うまでもない。「この写真に写っているように、この空間を見なさい」、という指示を人々に与えるのが、パンフレットというメディアの役割だったわけである。
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この役割はまた、象徴という言葉を使って言い換えることもできる。「空間の見方」を教えるとは、象徴作用の方向性を規定してやるということでもある。展示場住宅のパンフレットの中に例えばこんな写真があったとする。それはホームパーティーのワンシーンである。その住宅の広いLD(リビングダイニング)の中に、身なりのいい裕福そうな人々が集い、シャンパンをくみ交わしながら、にこやかに談笑している。この写真を見ることで、人々はこの空間が何を象徴しているか、このプランニングが何を象徴しているか、このカウンターが何を象徴しているか、このソファーが何を象徴しているか、この照明器具が何を象徴しているかを教わるのである。何を象徴するかを教わるということは、象徴作用の方向性を規定されるということであり、さらに言い換えれば象徴作用のコードを教わるということである。